先生とわたし
「ねーね。ずっと千華の事見てなかった?」
「それ私も思った。」
私よりも後ろの列に座っている二人が言うなら、間違いない。
「ほんとに祐チャンと何があったの?」
何があったか…。
今日久しぶりに会ったんだから、特にないんだけど…。
もしかして、休み中に連絡しなかったのがダメだったのかも…。
「…分からない。」
分かっていても、まだ言えない。
「不思議だね。」
「うん。」
聞いて簡単に理由を教えてくれさえすればいいんだけど…。
「あ、そうだ。」
美咲サンから渡された割引券あげなきゃ。
「これ、良かったら使って。」
「「はっ!?」千華チャン、これ何の割引券だか分かってるよね?」
「もちろん。」
知らずに渡せない。
「ふーん。まっ、有り難く貰うよ。」
「じゃあ私も。」
何だかんだ言いつつも、二人は割引券を財布にしまった。
「体育館行こっか。」
全校集会したのに、学年集会をするという…。
「寒っ。」
体育館の空気は、凍えていた。
「こないださ~。古河先生が女の人と一緒に、ホテルから出てくるの見たんだ!!」
「えぇ~!!相手ってどんな人だった?」
並びとかは関係ないから適当に立っていると、近くからそんな会話が聞こえてきた。
「千華、大丈夫?」
「う、うん…。」
相手ってやっぱり、矢島先生だよね…。
てことは、もう私が入る隙ないんだ…。
じゃあ、お昼ご飯作るのも止めないとな…。
「キャーァ。」
………