先生とわたし
「…千華。起きろ。」
「うーん…。いつの間にか寝ちゃってた。」
琴音も寝ていたらしく、無理矢理起こされて不機嫌になってる。
「ちょうど良く陽射しが入って来てたからな。まもなく着くから、準備してな。」
「ね、祐チャン。お腹減った!!」
「いきなり何言うと思ったら(笑)2人が落ち着いたら、お昼にしよう。」
「うん♪」
智クンは、琴音の機嫌を直すのに手こずっていた。
「琴音、着いたらご飯だって。」
「マジ!?」
私が言うと、琴音は素早く行動を始めた。
「ったく。何で千華チャンの言うことは聞くんだよ。」
「まぁまぁ。ほら降りるぞ。」
山のふもとに近い駅が、学校の最寄駅。
ふもとって言っても、スーパーも住宅街もあるから、ふもとに見えない。
「蕎麦でいいか?」
「あぁ。」
旅館近くのお蕎麦屋さんに入った。
「何がいい?」
どれが美味しいのか、分からない。
「祐チャンと同じのでいいよ。」
「OK。2人は?」
まだ悩んでるみたい。
「先に頼んでいいよ。」
「すいません。冷たい肉そば2つお願いします。」
「同じの2つで。」
「はい。かしこまりました。」
あれだけ悩んで、結局一緒のものを頼むっていう(笑)
「この店、○○っていう所と系列らしい。」
知らなかった。
「そーいや、その店って肉そばの名店だもんな。」
だから肉そばを頼んだってことか。
「お待たせしました。」
他愛もない会話をしていると、すぐに肉そばが運ばれて来た。
「「いただきます♪」」
さすが名店の系列ってだけある。
……
「「ごちそうさまでした。」」
祐チャンと智クンは会計に行ったから、私と琴音は外に出て待ってた。
「楽しみだね♪」
「うん♪」
プライベートの旅行は初だから、楽しみと緊張が入り交じってる。
「お待たせ。旅館、あれだから。」
智クンが指さした先には、老舗旅館があった。