先生とわたし
部屋に戻ると、布団が二組敷いてあった。
寝る前に、ちゃんと話さなきゃな…。
「祐チャン。…話したい事あるんだけど…。」
「おぅ。何した?」
祐チャンは、自分の所に来い来いって手招きをしてくれたけど、私は祐チャンに向かい合って座った。
「実はね…。祐チャンに別れてって言ったの、矢島先生のせいなの。」
「何があったんだ?」
祐チャンの表情が、一気に険しくなった。
「私と祐チャンは不釣り合いだ。って。祐チャンに我慢させてる事あるでしょ。って。…別れなかったら、美術の単位あげないって言われた。」
思い出すだけで、涙が出てきた。
「はぁ!?なんですぐ俺に言ってくれなかったんだ?」
ヤバい。怒りだしちゃったかも…。
「祐チャンが、矢島先生に何するか分からないから、怖くて…。」
でも、それとなくは祐チャンに聞いたつもりだったんだけど…。
「じゃあ、体育館で倒れたのも、原因は矢島先生だったのか?」
「まぁ…。私の誤解だったんだけど…。」
……
気まずくなっちゃった。
「こんな時に話してごめん。…お風呂入ってくるね。」
祐チャンを1人にさせてあげようと思い、部屋にある露天風呂に行った。
やっぱり、もう付き合い直せないよな…。
湯船に浸かって、今までの出来事を振り返った。
…
ガラッ。
しばらくすると、入り口のドアが開いた。
祐チャンが入ってきたことで、恥ずかしさが倍増してきた。
…
「千華。こっちおいで。」
祐チャンも湯船に入ってきた。
コクッ。
お互いの身体が触れるか触れないか、ギリギリの距離まで近づいた。
「怒ってないから、泣くな。先に上がって待ってるから。」
私の頭をポンポンして、祐チャンは上がって行った。
怒ってないってことは、あんな理由で別れを申し込んだのに、許してくれるってことなのかな?
……