千寿桜―宗久シリーズ2―
こうしている時も、どこかでは戦が起き、人命が失われている。
この地は、隣の領主である森山と協定を結んだ今、こうして平和な時間が過ぎてはいるが、それまでは小さな小競り合いが絶えなかった。
父上もいずれはどこか大きな武将の元につき、そして俺も、天下取り合戦に加わらなければならないのだろう。
その為、父上は多忙だ。
山と海に囲まれた小さなこの土地でも、天下の流れに逆らってはいけないのだから。
俺は、戦いは嫌いだ。
だがそれでも、尊敬する父上の為ならば、この身を捧げようという気持ちはある。
武術の鍛練もその為。
父上が好きだ。
この土地が好きだ。
俺が動く理由はそれだけだ。
だが、この地に戦を招かずに済む方法があるのならば、俺は迷わずそちらを選択するだろう。
「どの武将につくかで、先が決まるでしょう。采配は殿にお任せするしかありませんが……」
ですがと、源三郎は声を潜めて苦笑いをした。
「信成様が、何やらまた色々と……」
「……兄上か」
眉をひそめ、俺は上半身を起こす。
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この地は、隣の領主である森山と協定を結んだ今、こうして平和な時間が過ぎてはいるが、それまでは小さな小競り合いが絶えなかった。
父上もいずれはどこか大きな武将の元につき、そして俺も、天下取り合戦に加わらなければならないのだろう。
その為、父上は多忙だ。
山と海に囲まれた小さなこの土地でも、天下の流れに逆らってはいけないのだから。
俺は、戦いは嫌いだ。
だがそれでも、尊敬する父上の為ならば、この身を捧げようという気持ちはある。
武術の鍛練もその為。
父上が好きだ。
この土地が好きだ。
俺が動く理由はそれだけだ。
だが、この地に戦を招かずに済む方法があるのならば、俺は迷わずそちらを選択するだろう。
「どの武将につくかで、先が決まるでしょう。采配は殿にお任せするしかありませんが……」
ですがと、源三郎は声を潜めて苦笑いをした。
「信成様が、何やらまた色々と……」
「……兄上か」
眉をひそめ、俺は上半身を起こす。
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