千寿桜―宗久シリーズ2―
「なぜ……あなたが痛いのですか……痛いのは、私ですよ?」
俺を安心させる為だったのだろう。
いつもと同じからかい口調で語る源三郎であったが、それは恐怖に怯える俺には無意味な気遣いでもあった。
「死んでしまう!源三郎が死んでしまう!」
「……死にやしません」
そう呟き、源三郎は熱を帯びた虚ろな瞳を天井へと向けていた。
事実、源三郎は死ななかった。
源三郎の驚異的な回復力は想像を超え、三日後には起き上がり、五日後には道場にて竹刀を握っていた。
「私は不死身なのですよ」
幼心であったとは言え、俺はその言葉を疑い無く信じた程だ。
今も…少し信じている面もある。
不死身と言うよりも、不屈の精神ではあるが。
「この傷はですね、私が一生背負うべき戒めなのですよ」
源三郎は、傷痕を指でなぞっている。
その表情は切なげで、刀を天にかざす姿と重なり見えた。
「その傷、源三郎らしくはない傷だと感じたが、それ程に強い相手であったのか?」
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俺を安心させる為だったのだろう。
いつもと同じからかい口調で語る源三郎であったが、それは恐怖に怯える俺には無意味な気遣いでもあった。
「死んでしまう!源三郎が死んでしまう!」
「……死にやしません」
そう呟き、源三郎は熱を帯びた虚ろな瞳を天井へと向けていた。
事実、源三郎は死ななかった。
源三郎の驚異的な回復力は想像を超え、三日後には起き上がり、五日後には道場にて竹刀を握っていた。
「私は不死身なのですよ」
幼心であったとは言え、俺はその言葉を疑い無く信じた程だ。
今も…少し信じている面もある。
不死身と言うよりも、不屈の精神ではあるが。
「この傷はですね、私が一生背負うべき戒めなのですよ」
源三郎は、傷痕を指でなぞっている。
その表情は切なげで、刀を天にかざす姿と重なり見えた。
「その傷、源三郎らしくはない傷だと感じたが、それ程に強い相手であったのか?」
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