千寿桜―宗久シリーズ2―
どうなったのか………俺はそれが知りたかった。


元服したばかりの若い武士。
今の俺と同じ歳の頃の。




初めての戦で、恐怖と戦いながら刀を握る少年。


敵とは言え、生きていて欲しい……そんな気持ちが沸き上がっていたからだ。





知りたかった。




だが、次に源三郎から返った言葉は、俺の思いを打ち砕くものであった。









「その少年は、私が斬りました」

「……………」





斬った……?






「斬らなければ斬られる、殺さなければ殺されます」

「だから……か?」






驚きと困惑が形無き痛みとなり、俺の胸中に渦を巻いていた。


いつもいつも、俺の隣でふざけて笑う源三郎の知らぬ一面。







殺せるのだ。


源三郎は殺せるのだ。


恐怖に震える少年を……斬り捨てる事ができるのだ。




一瞬の躊躇も無に戻し、震えていると知りつつも………斬るのだ…。





「源三郎が、斬ったのだな」

「はい」

「なぜ斬る事ができる…」

「それが、戦ですから」




それが……戦?


若い命を絶つ事がか?







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