千寿桜―宗久シリーズ2―
「茶道・華道・着付けに書道、裁縫に料理。母さんが根を上げる程の教えに、姉さんはよく着いて行けたよ。今思うと感心する」







すごいな。


本物の箱入りお嬢様だ。




そういう環境の中で生活すると、瑞江さんの様な女性が育つのか。







「その祖母の教えの甲斐で、今は自宅で華道と書道の教室やってるけどさ」






ああ、更に納得。




外に働きに出るタイプには見えない。








それにしてもと、急須にお湯を注ぎながら言葉を続け、工藤は苦笑いをする。






「まだ二十二歳で若いんだから、姉さんも少し年相応に振る舞えばいいのにさ。着物なんか着てさ」


「え?そうかな」









僕は、着物を着る事はいい事だと思う。




僕が着物に慣れ親しんでいるからとは感じるが。





母親が着付け教室を開いているせいもある。



その為、僕自身も着付けを教え込まれた。






着物は日本の伝統。



それが今や、成人式くらいでしか着ないのが世の現状。




年齢的な価値観では無く、着たいなら着るべき。






それに……。




.
< 29 / 167 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop