千寿桜―宗久シリーズ2―
「瑞江、失礼だろう?座れ」

「失礼なのは、お父様の方ですわ」




瑞江さんは、怒りの視線を父親の恐持てにも向ける。



「お父様の思惑通りになるのは嫌ですわ。ご自分の気持ちを押し付ける前に、わたくしの気持ちを考えて下さった事があります?」

「親が子供の幸せを考えて何が悪い!」

「自分の幸せは自分で得ます。たとえ親のすすめであれ、固定観念に縛られた結婚なんて真っ平ですわ!」

「瑞江!!」






呼び止める父親の声に背を向け、瑞江さんの着物姿は、襖の向こうに消えた。




イライラした様に、坊主頭に近い短髪を掻きむしる父親。








うわぁ……親子喧嘩。


しかも、深刻そうな。






僕がこの場に居ていいのか………いや、むしろ気まずい。





と言うか、結婚とは?









こういう事だったのか。




読めたぞ。




工藤の挙動不審な理由。



なぜ瑞江さんが、僕を避けていたのか。

態度が変わったのか。



歓迎されていなかったのか。






一応、僕も当事者になるのだろう。




でも、何も聞いていませんが?



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