千寿桜―宗久シリーズ2―
さり気なさを装ってはいるけれど……これは、お見合いですよね?





「いや、すまないね。気の強い娘で」



申し訳ないと、仕切直しに酒をすすめてくる父親。


普段はあんな態度では無いのよと、取り繕う母親。






……もうバレてますから。

偶然を装い、引き合わせたつもりでしょうが、違和感だけが残りましたよ。



逆の立場ならば、僕も反発するでしょうね。


この場合、僕は瑞江さんに同情しますよ。



初対面の弟の友人、年下、しかも学生。

いきなりどうかとすすめる相手では無いでしょう?









しかし、この場の雰囲気を保とうとする両親の気持ちは汲もう。




時として親心は、子供の為にと考えるあまり、一番大切な事をおろそかにしてしまう時もある。






子供の気持ちだ。






それは親子の試練でもある。


第三者の僕が、口を挟む問題では無い。





まぁ…瑞江さんを紹介された時点で、足先くらいは突っ込んでしまっている問題ではあるのかもしれないが。








その後、すすめられるままに飲んだ酒は、初めと違い、少々苦く感じた。




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