千寿桜―宗久シリーズ2―
いつの間にか、人では無いものに囲まれているのだ。



父も僕も、そういうものを引き付けてしまう磁石体質だ。



二人揃うと、尚の事らしい。




そういうものらが僕と父をに囲み、いつ酔い潰れるだろうか、潰れたらどうしてくれようかと、悪戯を待ち侘びる好奇心の気配を漂わせ、酒宴の成り行きを見ている。




奴らに弱みは見せられない。


引き込まれてしまうからだ。


そうして、根競べになる。




父は、僕よりも酒が弱い。


先に就寝につくのは父の方。



あくびを噛み殺しながら
「宗久、頼む」
と言われるのは毎回。





そうなると、僕が奴らを追い払わなくては大変な事になる。






強くなるつもりはなくても、結果、ならざるを得ない。










「……違う、話をそらすな」

「………ははは」




ばれたかと、工藤は煎れたての熱いお茶を差し出してきた。








白い湯気に包まれた翡翠色の飲み物は、幾分か僕の心を落ち着かせてくれた。







「姉さん、先月見合いしたんだよ。父さんの強いすすめでさ」

「見合い?」






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