千寿桜―宗久シリーズ2―
「それで父さんが怒ってさ、断る理由が桜とは何だ!って……で、親子であんな意地を張ってる」
そんな所に僕が来て、工藤父としてはすすめたくなってしまったらしい。
僕の情報を得、実家が資産家である事も、将来的な事も、一通りの性格も。
工藤は止めたらしいが、協力しろと強引に説き伏せられたと言う。
そのまま僕に言いづらくなり、こんな結果になってしまったのだと、工藤は謝罪してきた。
「姉さん気が強いから、宗久の様に、のんびりした奴ならって俺も考えてしまって」
のんびりって……。
「それに、宗久は男前だからさ。会えば、姉さんもその気になるかな?なんて」
「…………」
工藤……俺は止めたんだと言わなかったか?
それにしても。
嫁に行かない理由が千寿桜だとはな。
よほど執着があるのか。
分かる気はする。
あの桜は、この世のものとは思えない、壮絶の域に属する美しさを称えたものだろう。
それが時として、人を惑わす事があっても不思議は無いだろうな。
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そんな所に僕が来て、工藤父としてはすすめたくなってしまったらしい。
僕の情報を得、実家が資産家である事も、将来的な事も、一通りの性格も。
工藤は止めたらしいが、協力しろと強引に説き伏せられたと言う。
そのまま僕に言いづらくなり、こんな結果になってしまったのだと、工藤は謝罪してきた。
「姉さん気が強いから、宗久の様に、のんびりした奴ならって俺も考えてしまって」
のんびりって……。
「それに、宗久は男前だからさ。会えば、姉さんもその気になるかな?なんて」
「…………」
工藤……俺は止めたんだと言わなかったか?
それにしても。
嫁に行かない理由が千寿桜だとはな。
よほど執着があるのか。
分かる気はする。
あの桜は、この世のものとは思えない、壮絶の域に属する美しさを称えたものだろう。
それが時として、人を惑わす事があっても不思議は無いだろうな。
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