千寿桜―宗久シリーズ2―
実際、僕も見とれてしまった。





夢を介して、僕を招く力を持った千寿桜だ。



正直、気になる。










桜の下に立つ瑞江さんは、桜と同化している様にも見えた。



桜自身も、瑞江さんの存在を喜んでいる様にも。









人の心、桜の心。




位置する、互いの思惑。










彼女と桜の間に、何かがあるのだろうか。




でなければ、執着する意味が成り立たない。









………これか?







これが、桜が僕を招いた理由なのだろうか。







桜と瑞江さん、これらを繋ぐ何かを見出だせ………と?






それならば、桜の元で瑞江さんと会った事は、呼ばれたのだと説明がつくが。







どうなのか。








考えながら、冷めかけたお茶を口に含む。







確かに説明はつく。


だが、釈然としない。










なぜ、僕なのか。






桜が瑞江さんと離れたくないのならば、僕はかえって邪魔にならないか?



繋ぐ何かを見つけられたなら、僕はおそらく、その執着を断ち切れるだろう。



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