千寿桜―宗久シリーズ2―
半ば強制的に現実に引き戻された僕は、のしかかる布団の重さの中で目が覚めた。



上半身を起こす。






夢から戻ったばかりとは思えないくらい、意識がはっきりしている。







壁に掛けてある時計の時間は、早朝6時。










まただ。



またこの時間に目が覚めてしまった。







とある外国では、数字の六は悪魔の数字と言われ、不吉とされる傾向があるそうだ。



第六感と言う単語もある。






これもそうか?




手掛かりを掴む事ができないままで、目が覚めてしまうこの状況は、そう考えて自分を落ち着かせるしか無いな。







隣に敷かれた布団の中では、まだ工藤が気持ち良さそうに、寝息に身を委ねている。




のん気な奴。







中途半端に目覚めた余韻の悪さを、工藤に視線としてあてながら、僕は起き上がる。








分厚いカーテンを引くと、外は晴天だった。




清々しい春の朝の光が、滞った部屋の空気を隅々まで清浄化していく。




日だまりに包まれていく。






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