千寿桜―宗久シリーズ2―
「新庄くんは、何か武道はやっているのか?」
ぼんやりと庭を眺めていた僕に、竹刀を振り下ろす工藤父が問い掛けてきた。
ああ、一瞬、工藤父の存在を忘れてかけていた。
あまりに庭が綺麗だから。
「武道…空手くらいでしょうか」
「ほぅ」
好奇心を刺激されたのか、工藤父は竹刀の手を止め、縁側に年寄り臭く座る僕を見下ろす。
幼い頃、喘息持ちだった僕に空手をすすめたのは父だ。
父の友人が、空手教室を開いていたのがきっかけ。
まぁ、人付き合いの良い父の事だ。
たとえ友人が開いていたのが囲碁教室だったとしても、判断能力を養う為だとか言い、僕に習わせたに違い無い。
たまたまそれが、空手であっただけの事だろう。
始めたのは五歳の頃。
習う内に面白くなり、中学でも高校でも空手部だった。
一応、試合ではいい所まで勝ち進んだ。
代償なのか、当時肋骨も折ったのだが。
今でもたまにやってはいるが、身体を動かす程度。
大学の友人達には、僕の柄じゃないなんて驚かれている。
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ぼんやりと庭を眺めていた僕に、竹刀を振り下ろす工藤父が問い掛けてきた。
ああ、一瞬、工藤父の存在を忘れてかけていた。
あまりに庭が綺麗だから。
「武道…空手くらいでしょうか」
「ほぅ」
好奇心を刺激されたのか、工藤父は竹刀の手を止め、縁側に年寄り臭く座る僕を見下ろす。
幼い頃、喘息持ちだった僕に空手をすすめたのは父だ。
父の友人が、空手教室を開いていたのがきっかけ。
まぁ、人付き合いの良い父の事だ。
たとえ友人が開いていたのが囲碁教室だったとしても、判断能力を養う為だとか言い、僕に習わせたに違い無い。
たまたまそれが、空手であっただけの事だろう。
始めたのは五歳の頃。
習う内に面白くなり、中学でも高校でも空手部だった。
一応、試合ではいい所まで勝ち進んだ。
代償なのか、当時肋骨も折ったのだが。
今でもたまにやってはいるが、身体を動かす程度。
大学の友人達には、僕の柄じゃないなんて驚かれている。
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