千寿桜―宗久シリーズ2―
「わたくしも失礼な態度をとってしまいました。ですが、あの様な形ですすめられたわたくしの気持ちもご理解下さいませ」

「はい、それは重々に……何も知らなかったとは言え、嫌な思いをさせてしまったと……」



「え……」





笑みから驚愕へと委ねられていく、瑞江さんの美貌。






「ご存知ではありませんでしたの?」







はい、全く知りませんでした。



知っていたならば、事前に手を打っておりましたよ。








知らなかった…と、呟く様に繰り返す瑞江さん。






そう、知りませんでした。









「ああ、わたくし誤解をしておりました。新庄様はてっきり、承認された上でこちらにいらしたのかと」





やはりそうか。


薄々感じてはいたけれど。









「申し訳ありません。失礼を致しましたのは、わたくしの方でございました」





深々と頭を下げられ、僕は恐縮した。







謝られる事では無い。



子を案じる親の強引さが、極端に現れただけの出来事だ。



それに、誰かを責める気持ちなんて僕の中には存在していない。


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