千寿桜―宗久シリーズ2―
―忘れたもの…それは、あなたが今生に生まれ落ちた時から、魂の奥底で眠っていたもの―





魂の……?








まさか………それは……。










―桜が導いてくれます。どうか、眠る記憶に身を委ねて………―





桜………。






僕の、記憶。








ああ、そうか。









姫………そうなのですね。









意識が、僕の手を離れていく。




まるで、握りしめられた姫の手の中に吸い込まれていくかの様。







無重力…………。





僕は、どこへ行くのだろう。








ねぇ、千寿姫。







僕に、真実を見せて下さい。







受け入れましょう。




僕の魂の中で眠る、その記憶を、想いを。





あなたが、それを求めるのならば。










―起きて下さいませ……愛しい………あなた…―









闇が視界を覆う瞬間………。




悲願なのか、懇願なのか。






囁く、姫の声が遠くに聞こえた気がした。






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