千寿桜―宗久シリーズ2―




千寿





俺にとって、あれ程の印象的な出会いは、他に無かった



いや、お前であったからこそだろう









あの様な出会い方でなければ、俺達はまた、違う想いを抱いていたのだろうか



違う方法を選択できたのだろうか








俺はまだ若く、十四の元服前の男で、お前は十五で…








若かったからこそ、現実から逃げ、その先の可能性だけを強く信じてしまえたのだろうな



否定する事も無く

ただ、今を生きる為に







守りきれると、信じて疑っていなかった




お前も、そうだと信じていた







お互い、せめて心の強い大人であったならば



お前も

俺も




あの様な選択をせず、別の道を選べたのかもしれない











千寿








桜が、美しかったな……








あの時、時が止まっていたならば………










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