千寿桜―宗久シリーズ2―
馬場の隣の、桜の木の下で会った時とは印象が違いすぎる。






桜の下に立つ千寿は………美しかった。



息を飲む程。



はらはらと降る花びらも、千寿の為に降っているのではないかと思える程。





美しかった。









だが、俺が夫だと知るや否や、ころりと態度を変えた。


まるで、敵を見るかの様な視線に変わったのだ。






なぜかは分からない。



俺は何もしていない。


お互い、初対面なのだから当然だ。






女好きの源三郎に対しての敵意ならば分かるが。








何が千寿をあの様な態度に駆り立てるのか。







政略だからか?






それに関しては、俺も疑問はある。


だが、逆らえない事である。




千寿も理解している筈だろう。






特別、俺は女としてだけ見るならば、千寿に不満は感じない、




だが源三郎の様に、美女ならば許せる等と気楽には考えられないのだ。





気に入らない……と言うよりも、気になる。


桜の下に立つ千寿。

妻として、生意気な挨拶をした千寿。




どちらが真の姿か。


.
< 97 / 167 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop