スピリット・オヴ・サマー

それでも、憲治は言わなくてはならなかった。最後の感謝の言葉を、言わなくてはならなかった。
「…うれしかった！俺のこと好きになってくれる女の子がいてくれて…、なのに、なのに俺は、お前のことをォッ！」
　憲治は子供の様に声を上げて泣いた。痩せっぽちの「聖菜」のカラダにしがみついて、ただ泣きじゃくった。
「…いいんです！」
　最後の力を振り絞って、「聖菜」は自分にしがみつく憲治の耳元で「力の限りにささやいた」。