スピリット・オヴ・サマー
「あやっ!何だべ、昨日『会いたいよ…。』なーんて泣き言言ってだがら、せっかぐ心配して出で来たなさ。それだがら、あんだ、いつ迄たっても恋人いねなだど!」
 唇をついっと突き出して生意気な口を利いた「少女」ではあったが、憲治がその言葉に口を閉ざし、横顔に影の注したことに気づいて「…ごめんなさい。」と、小さくなってしまった。
「いいって。お前には感謝してる。」
 憲治はため息とともに、口元を緩めた。
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