スピリット・オヴ・サマー
不思議な美少女の、その滑らかな吐息の余韻が舌の先の辺りに絡みついたまま、憲治はプールのフェンスに鍵をかける。
あの少女が何者なのか、まったく覚えが無い。以前に何処かで会ったとも思えない。
否、まったく覚えが無いとも言い切れない。どこか、記憶の片隅にある顔にも思える。いつも傍に居た気もするが、誰とははっきりしない。「存在」は確かなのに、この目で見たことが無い。他人と言うほど距離は感じない。友達よりも更に近い、家族に近い「血」の匂いがする。
あの少女が何者なのか、まったく覚えが無い。以前に何処かで会ったとも思えない。
否、まったく覚えが無いとも言い切れない。どこか、記憶の片隅にある顔にも思える。いつも傍に居た気もするが、誰とははっきりしない。「存在」は確かなのに、この目で見たことが無い。他人と言うほど距離は感じない。友達よりも更に近い、家族に近い「血」の匂いがする。