スピリット・オヴ・サマー
「その恰好は俺のアニマだろ。千佳子にもその恰好で見えるってのは、おかしいと思ったんだ。それに、金曜日も、土曜日も会ってくれなかった。まあ、おかげで俺の寿命も、影の薄さが気にならないぐらいまで回復したみたいだけどな。」
 途端に、憧子の俯いた横顔に影がさっと走った。
「言いたくなきゃ、別に。いいんだけど。」
「いい。教える。」
 少し寂しげなまま、憧子は話し始めた。
「この恰好、何だが気に入ったなだァ。」
「本当かよ。」
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