スピリット・オヴ・サマー
「おい、かくれんぼかよ。」
 理解しがたい状況におかれた時の、「嫌な感じ」をごまかそうと、憲治は少しいらだたしげに言葉を吐く。そして胸中で毒づいた。

『まったく、大人を馬鹿にしやがって…、』
 「おとなをばかにしやがって、」

 憲治の胸中の台詞が、思わぬ所から「音」を成して彼自身の耳に入った。しかもその声は彼の声ではなく、少女の声。
「はあ?」
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