スピリット・オヴ・サマー
静かに言葉を紡ぐ憲治の横顔に、憧子の瞳が揺れる。
この北中での数日の間に、初めて見せた、年上の男としての憲治の姿だった。
「夢は醒める。そうかも知れない。けど、憧子、」
憲治は憧子を見た。
「お前は俺を助けてくれた。確かに、お前に会い続ければそれだけ、俺は少しづつ死んでいった。たぶん。でもお前はそのことを隠さなかったし、俺だってそれを承知で、今日もこうしてお前と会ってる。何より、生きたまま腐り始めていた俺に、これから生きていくための『夢』をくれた。なんて言ったら良いんだろ。つまり、」
この北中での数日の間に、初めて見せた、年上の男としての憲治の姿だった。
「夢は醒める。そうかも知れない。けど、憧子、」
憲治は憧子を見た。
「お前は俺を助けてくれた。確かに、お前に会い続ければそれだけ、俺は少しづつ死んでいった。たぶん。でもお前はそのことを隠さなかったし、俺だってそれを承知で、今日もこうしてお前と会ってる。何より、生きたまま腐り始めていた俺に、これから生きていくための『夢』をくれた。なんて言ったら良いんだろ。つまり、」