スピリット・オヴ・サマー
 所謂「今様の女の子」の話なのだ。しかも一人で延々と、しかし聖菜ならではのぽつりぽつりといった感のある語り口が憲治には何一つ苦痛を感じさせない。やはり、どんなに経っても聖菜は聖菜でしかない。
 聖菜は近況の報告に終始する。「あの頃」以降の彼女の、恋愛に関する話が出ないことに憲治は油断していた。だが。
「先輩。」
 聖菜が憲治に呼びかける。
「んあ?」
「先輩は、恋、をしましたか?」
「…。」
 不安、的中。
< 339 / 422 >

この作品をシェア

pagetop