スピリット・オヴ・サマー
 そして、
「応援どころか、俺をファンクラブの第一号に指名してほしいくらいだ」。
 憲治はそう言ってニヤリ、と笑う。聖菜の真剣な眼差しに比べて幾分不真面目に見える憲治のにやけ顔だが、聖菜は安心したように微笑み返した。それから「良かった」と、小さく言って憲治の肩にもたれかかった。

 夕闇が全き夜へと、ゆるやかに姿を変えていく。
 聖菜は夜が訪れるのを待たずに、明日の再会を「ためらいの感じられる微笑みで」約束して家路に付いた。そして憲治は一旦、バイクを取りに校舎に戻った。
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