スピリット・オヴ・サマー

「本物…、じゃない？」
「んだ、あの蕎麦屋もそう、憲治さんは一人で行った事になる。おらど同じように、昼間の『聖菜』も他人には見えでねぇ存在(モノ)だったなだァ…。」
　憧子の言葉をにわかには理解しかねた憲治。憧子はその様子を更に気に病むように、途切れ途切れに言葉をつないでいく。
「憲治さんは、おらど出会って、命削られで行った。だども、憲治さん自身が、そごそご人並みな耐久力があった、だがら、おらど会わねでいれば元通りの、『濃い』生命力が戻ったなだ。だども、聖菜は…、」
「…聖菜、は…？」