スピリット・オヴ・サマー
「悪条件が重なってしまった。聖菜は仕事上の疲れだどが、肉体的にも、精神的にも消耗気味だった…。憲治さんだば分がるべ、聖菜が昔から、あんまし身体丈夫でねがったな。そごさ持ってきて、『モノ』どの接触。しかも、自分の卦げだ『呪い』を解がれだ、その現場を見せられでしまったァ。影が薄ぐなるのを通り越して、『オモカゲ』、つまり、今際(いまわ)の際の幽体になって、憲治さんに会いに来てだなだァ…。」
 はぁ、とため息をつく憧子。頬の辺りに柔らかく黒髪がかかり、憧子の切ない思いが影を増したように見えた。
 憧子は続けた。
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