スピリット・オヴ・サマー
「な、なにぃ?」
 「少女」に覆い被さる様に倒れ込んでしまった憲治は、さっと立ち上がると赤面しながらも、下心を否定しにかかった。「少女」の笑顔に、先程まで憲治の魂の淵を漂っていた「密やかな影」は、跡形も残さずに吹き飛ばされていた。
「何で俺が、お前みたいな子供に…、」
「子供ォッ?」
 わっ、と言って両手で顔を覆う「少女」。
「ひどォい、一度は襲いかかろうとしたくせにィッ!」
「なっなっ、」
 憲治は突然のことに動揺しながら「少女」の肩に手をやった。
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