森林浴―或る弟の手記―



正世も修介を実の兄のように慕い、修介も正世を可愛がっていました。


そんな二人を、私と幸乃、そして佐保里姉さんはいつも微笑ましく見ていました。


修介が勉強も見てくれるお陰で、正世も落ちこぼれることなく、ですが女子としては出来すぎない程度の成績を保っていました。


両親が健在だった頃より、遥かに幸せな時間。


佐保里姉さんもスナックでの勤務を少し減らしていました。


年を取ると身体が疲れやすい、と言ってはいましたが、やはり美しさだけは変わりませんでした。


若づくりすることはなく、年相応の美しさでしたが、人目を引くものがあります。


店でも相当客から口説かれたようですが、佐保里姉さんはそれを全て断っていたそうです。


佐保里姉さんはもう男性と関わりを持ちたくなかったでしょう。



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