森林浴―或る弟の手記―




私もその気持ちはよく分かりました。


最初の庭師との男との関係は詳しくは知りませんが、佐保里姉さんはその時は妊娠し、無理矢理堕胎をさせられた。


速水の夫は戦死。
そして、娘の早苗とは離れてしまった。


心から愛していた嘉一さんは奥様の手によって無惨な死を遂げた。


そして、表は自殺とも事故とも分からない死に方をした。


佐保里姉さんと関わった男は全て死んでまうのです。


ですが、やはり私はそれを佐保里姉さんのせいだとは思っておりませんでした。


そもそも、速水の夫の場合は仕方のないことです。


ただの偶然とは到底思えない出来事の数々ではあります。


でもやはり、私は幸せですから。


幾ら弟とはいえ、私も佐保里姉さんと関わっている男には違いありません。


なので、違うと思えたのです。



< 103 / 201 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop