森林浴―或る弟の手記―




佐保里姉さんと関わる男が全て不幸になるというなら、まず私が真っ先に不幸にならなくてはいけません。


それに、遊郭時代の話を佐保里姉さんから聞いても、不幸になった客など、誰一人としていないのです。


そんなことであったなら、遊郭で佐保里姉さんに客がつくことはなかったでしょう。


それらのことを考えても、佐保里姉さんの周りで不幸な出来事が起こるのは彼女のせいではないのです。


なので、この時の私はそれらは全て、偶然か神様の悪戯に違いないと思い込むようにしていました。


全てを知らなかった私はそう思うしかなかったのです。




< 104 / 201 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop