森林浴―或る弟の手記―
私は絶対にそうはならない。
家族というものを持った時の誓いを、私は未だに崩しておりません。
私の中で、父の自殺はそれ程までに深い出来事だったのです。
その時は母の入院や、生活苦が重なり、その事実を受け止める余裕はありませんでした。
後になってから、振り返り、気付いたことです。
体面ばかり気にし、家族のことなど何も考えていなかった父。
それに依存し、自活など出来なかった母。
彼らは私の反面教師でした。
そのようにだけはならない、という思いが私をしっかりとした男に成長させたのでしょう。
ある意味、両親には感謝出来るとも言えるでしょうが、それは本当の感謝ではありません。
私は家族にそのように思われたくありませんでしたし、そうは思われない父親であったと思っています。