森林浴―或る弟の手記―
私はどうしたのかと驚き、口を開きかけした。
すると、修介は私の言葉を待たずに、いきなり土下座をしたのです。
私は慌てて修介に近寄り、頭を上げさせようとしました。
ですが、修介は頑なに頭を下げ続けるのです。
私は仕方なしに、修介に「どうした?」と尋ねました。
すると、修介は開口一番に「申し訳ありません」、と大きな声を出しました。
よくよく考えれば、修介が私に向かって謝るのも初めてでした。
修介は私たちに気を使い、いい子にしていたのでしょう。
私は可愛い甥のそんなことも気付いてやれていなかったのです。