森林浴―或る弟の手記―
この子はこのことを告げるのに、一人でどれ程悩んだのだろうと考えると、胸が締め付けられました。
そして、それに気付いてやれなかったことを深く悔やみ、恥ずかしくも思いました。
私は、修介の父親代りのつもりでいたのですが、その役割は少しも果たせていなかったのです。
私は彼女との結婚を認める代わりに、幾つかの条件を求めました。
大学は予定通りに卒業すること。
仕事の手伝いは無償ではなく、アルバイトとしてすること。
二人で暮らすのは、大学を出てからにすること。
それまで彼女は、この屋敷に住まわせるつもりでした。
私の出した条件を、修介は全て受け入れました。
そして、何度も感謝の言葉を口にしました。
私はそれを制し、彼女との出会いについて尋ねました。