森林浴―或る弟の手記―
ようやく、修介の恋人と対面出来る日が訪れました。
前日から私は落ち着きがなくなり、職場でも狭い場所を行ったり来たりしていました。
修介の話では、彼女も私が出した条件に同意したとのことでした。
後は、私と佐保里姉さんが彼女に面と向かって許可を出せば、結婚が決まるのです。
それでいて、落ち着いていられるわけがないのです。
いつまでも子供だと思っていた修介が気付けば立派に成長し、結婚を決めた。
年月が経つのは何と速いことでしょう。
私は既に四十を越えていました。
会社を持ってからはまだ二十年でしたが、その日々はあまりにも速く、ですがとてつもなく重厚でした。
このようにして、死期をも迎えるのだろう。
私は漠然とそう思ったりもしました。
佐保里姉さんは五十になろうとしていた時です。