森林浴―或る弟の手記―




やはり、と思うと同時に、足から力が抜けました。


そして、私はその場に崩れ落ちました。


幸乃は驚愕の表情を浮かべ、佐保里姉さんは涙を流していました。


佐保里姉さんの涙はどちらの事実に向けてかは分かりません。


事実を知らない正世が「お父様、大丈夫?」と、私の元に近寄ってきました。


私はそれに頷くことも出来ずにいました。


嘘だ、と思いたかったのです。


念願の再会が、まさかこんな形で叶ってしまうとは。


神様などいない。


私ははっきりとそう思いました。



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