森林浴―或る弟の手記―




佐保里姉さんは声を出して泣き出しました。


それを幸乃が宥めるようにしていたのは覚えています。


私はひたすらどうするべきか考えていました。


二人に真実を告げるべきか。


それとも、単に反対をする芝居をし、子供を堕ろさせるか。


とてもではないですが、私の口から本当のことなど言えませんでした。


二人は今幸せなのです。


そんな時に、実はお前たちは姉弟だ、などと言われたら、どう思うでしょう。


衝撃などという言葉では片付けることは出来ないはずです。


ですが、このまま、結婚や出産を認めるわけにもいきません。


私は頭を抱えたまま、小さく唸りました。


どうしたらいいかなんて、決められなかったのです。



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