森林浴―或る弟の手記―
泣き崩れる佐保里姉さんに、項垂れる私。
修介と早苗の二人は何が起きているのかさっぱり分からなかったことでしょう。
しかし、反対するにしても、理由が思い付きません。
それにそもそもは賛成してしまっているのです。
上手い言い訳を考えなくては、と私は色々と考えました。
私はどうにか二人を引き離す方法でいくことに決めていました。
ですが、事態は思わぬほうに転びました。
佐保里姉さんがゆらりと立ち上がるのが視界の隅に入りました。
私はそれにつられて、顔を上げました。
佐保里姉さんは幸乃に支えられながら、ふらふらと歩き始めたのです。
私は佐保里姉さんがどうするつもりなのか見当もつかず、それを見ていることしか出来ませんでした。