森林浴―或る弟の手記―
この場を取り繕うことなど、もう到底出来ぬことでした。
出来ることは真実を全て話す。
それしかなかったのです。
私は意を決して全てを話しました。
早苗は恐らく佐保里姉さんの娘であること。
佐保里姉さんと早苗は空襲の混乱ではぐれてしまい、それ以来消息が掴めなかったこと。
だから、修介と早苗は異父姉弟になること。
佐保里姉さんの行動で察してはいたのでしょうが、いざ言葉として聞くと、修介と早苗の顔はみるみるうちに歪んでいきました。
当たり前のことでしょう。
知らなかったとはいえ、近親者と契りを結んでいたのです。
二人の関係は近親相姦だったのですから。