森林浴―或る弟の手記―
それでも修介は子供を堕胎することに納得しませんでした。
私と修介は強い言い合いになりましたが、このようなことをするのも初めてでした。
要するに、修介が自分の意見を押し通そうとするのが初めてだったのです。
その間、幸乃は佐保里姉さんを宥め続けていて、正世はどうしたものか狼狽えていました。
そして、肝心な早苗の様子は全く覚えておりません。
早苗はあの時、どのような顔をしていたのでしょう。
堕胎は彼女の身体に行うことです。
ですが、私の頭も混乱していたので、そこまで気が回らなかったのは事実です。