森林浴―或る弟の手記―
修介はこの家を出て、早苗と二人、遥か遠い土地で暮らすと言いました。
それも許すわけにはいきません。
修介は紫野コーポレーションの大切な跡取りなのです。
それに、私の目につかない場所ならいいという話ではありません。
私としては、姉弟で関係を持ち続けるなど、おぞましくてならなかったのです。
何故私はここまで姉弟間の関係を拒絶するのか、自分でもよく分かりませんでした。
自分にも姉がいるから置き換えて考えてしまうのだろう、くらいにしか思っていませんでした。
だけれど、その理由にすぐに気付いたのです。