森林浴―或る弟の手記―





私は昔から、穏やかでよく出来た性格の香保里姉さんより、普通の人とは少し変わったら佐保里姉さんになついていました。


佐保里姉さんが私には優しかったから。


勿論、それもあるとは思います。


ですが、それだけではありません。


私は香保里姉さんを苦手としていたのです。


本当に幼い頃、私は佐保里姉さんと香保里姉さんの人形でした。


二人とも、歳の離れた弟である私を可愛がってくれていたのです。


女物の服、男物の服。


様々な服が私には着せられました。



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