森林浴―或る弟の手記―
私はこの時までこの事実に気付きませんでしたし、何より忘れてもいました。
私が大きくなるにつれ、香保里姉さんはそのようなことを止めたからでしょう。
だから、私には単に香保里姉さんのことを苦手としか認識していなかったのです。
そのせいもあって、私は修介と早苗の関係が必要以上におぞましく感じてしまったのです。
ですが、それはこの場で口にすることではありません。
なので私はただ強く、二人の関係を反対し続けました。
すると、ふらりと早苗は居間を出ていきました。
この時初めて気付いたのですが、早苗のお腹は相当大きくなっていました。
私はずっと、早苗の顔しか見ていなかったのです。
早苗の、佐保里姉さんの若い頃と瓜二つの顔しか。