森林浴―或る弟の手記―
佐保里姉さんと修介の部屋の前には一日三回、食事を置きましたか、どちらも手をつけてありませんでした。
私と幸乃は赤ん坊を抱えながらどうしたものか考えましたが、特にいい案は浮かびませんでした。
でも、少しした頃から、修介の部屋の前の食事が減り始めました。
私はそれに安堵しました。
続いて、佐保里姉さんの部屋の食事も減り出しました。
二人とも、時間を掛けてでも早苗のことから立ち直ってくれている。
そう思えました。
宗一郎は母を恋しがる素振りは見せたものの、それでも順調に育っていきました。
修介が初めて宗一郎をその手で抱いたのは、宗一郎が生まれて半年程経った頃でした。
ある日の朝、居間に宗一郎をあやしながら行くと、そこには修介の姿がありました。