森林浴―或る弟の手記―
修介は私の姿を見るなり、深く頭を下げました。
そして、沢山申し訳ない、と言いました。
私は修介が部屋から出てきてくれただけで十分でした。
それ以前のことを責める気など毛頭なかったのです。
それを告げると、修介は小さく頷き、宗一郎を抱きたい、と言いました。
我が子です。
抱きたいはずなのです。
私はそっと宗一郎を修介の腕に預けました。
宗一郎は修介の顔を初めて見るにも係わらず、泣きもぐずりもしませんでした。
直感で父親だと分かったのでしょう。
修介は宗一郎を抱きながら、静かに涙を溢しました。
宗一郎の柔らかい頬に、修介の涙は落ちていきました。
そして、修介は再びやり直す、と口にしたのです。