森林浴―或る弟の手記―
修介も無事に大学を卒業し、私の仕事を本格的に手伝うようになっていました。
佐保里姉さんは癌に侵されましたが、発見も早く、手術も成功し、穏やかに暮らしていました。
正世も口は達者だが、聡明な少女へと成長していました。
幸乃も私の傍らでいつも微笑んでいました。
そして、宗一郎も五歳になり、色々と習い事を始めていました。
修介の意向で、英会話に絵画、スイミング、と毎日何かしらお稽古ごとに通っていました。
宗一郎は利発な子で、それらを全て完璧にこなしていました。
そして顔は修介と早苗に似て、実に愛らしいものでした。
宗一郎を我が家で育てて本当によかった。
私は今もそう思っています。
そして、宗一郎の六歳の誕生日のことです。