森林浴―或る弟の手記―
私は、宗一郎を立派に育てることに全てを費やしました。
修介亡き今、会社を託せるのは宗一郎しかいないのです。
ですから、宗一郎がしっかり育てば、佐保里姉さんも少しは救われるかもしれない。
そう考えていたのです。
宗一郎は私の気持ちに応えるかのように、本当に立派に育っていきました。
小学校、中学校でも成績は常にトップ。
それだけでなく、スポーツもこなし、社交性にも優れていました。
そして外見も、知らぬ祖父が米国人の為、美しいだけでなく、何処か個性的でした。
宗一郎は修介より美しい少年に成長していったのです。