森林浴―或る弟の手記―
ようやく、佐保里姉さんは呪縛から解放された。
そう思うことが出来たのです。
空には、修介も早苗もいます。
そして、嘉一さんも。
それなら、佐保里姉さんは幸せでしょう。
私は佐保里姉さんの細かい骨を見ながら、そんなことを思いました。
苦労したせいか、佐保里姉さんの骨はしっかりしたものではありませんでした。
若い頃の美しかった姿も、こうして骨になってしまえば、何の意味もないのです。
そう考えると、こんなことに柵を感じていた香保里すら気の毒に思えました。
死んでしまえば、全て意味はないのに。
私は佐保里姉さんの為に、森が近くにある墓地を選びました。
そして、早苗と修介もそこに移しました。
家族皆で暮らせるようにです。