森林浴―或る弟の手記―
十冊目
宗一郎は自首をしました。
それは宗一郎の意志です。
ですが私はそれを事故だと改竄しました。
宗一郎が夜道で運転を誤ったせいにしたのです。
あんな女の為に、宗一郎がただの殺人犯にする必要はないのです。
事故であれば、宗一郎の罪は軽くなります。
幸い、宗一郎は私の養子になっている為、香保里とは戸籍上だけの親戚なのです。
そこにきちんとした血縁関係がないので、疑われることはありませんでした。
そして、宗一郎は自首をする前に全てを話してくれました。